なゐ/yumekyo
 
止まったままの 時がある 
針が曲がってベルトをなくした 
金時計の中に 
とどまっている 
休まず刻んだ針が 
不意に歩みを止めた 
大地の奥深くから轟音が猛然と駆け上がり 
アスファルトの道が引き裂かれ 
中から火輪に覆われた龍が飛び出し 
果ての果てまで駆け抜けた 
ぽつりぽつり灯り始めた光は闇に押し圧されて 
一瞬の後 
激しく北風の鳴る音がした 
飛び出した者達は 
悪い夢の続きを見ているのだと思った 
互いに顔を見合わせて 
信じないと頷きあった 
やがて空が白みはじめて 
傍らに眠る家族が 仲間が 
息をしていないことに気付き始める 
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