泥臭い希望よ涙せよ(2008)/田園
 
泥臭い希望よ涙せよ


それは停滞したのかもしれない
それは退化だったのかもしれない
だが俺には俺自身がいた
絶望にくれる心にも一筋の光が射すことがあり
ふてぶてしいまでの俺自身があった

なあ相棒よ
俺達は生きていた
風雨の強い日も
灼熱に飢えた日も

生き延びてきたよな
この体と心で
手がやけに冷たくかさついている
矢の突き刺さった背中には
安らかな母の死に顔がうっすらと浮かんでくる

優しかったただ優しかった
大切な人よいつまでも

街灯の光すら届かない路地裏で吐いて
にやり と忘れた笑いを溢す

岐路にたった時ただ涙
勇ましいまでの武者震い
捨てるものも守るものも何も無い

停滞なのかもしれない
退化しているのかもしれない

蛇口から水が漏れている
壊れた扇風機からは風は生まれない

なあ相棒
手を差し出す

ボロい自転車も
欠けたチョコレートも

笑っておくれよ
さあ

俺達には明日がある


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