非常事態/
佐藤真夏
箸置きに次元をかえて架ける橋 転がる二本の非常階段
きみの手のあやとりの糸たぐり寄せ真水に飛び込む指を絡めて
爪先もまなこも縦に尖らせて剥がす鍵盤しろいとこから
朝焼けを乱反射する異類の眼 垂れるナミダに絶世をみる
弱まった心拍の音が萌えている種にもどってまるくまるくなる
「針千本呑ませて、くすりみたいにさ」口約束に添え木する指
濁流に沈めど浮かぶ木の実らの保つ黄緑 闇夜に映えて
跨って線路をめくる踏切で粘土細工の肌を脱ぐため
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