推敲したら嘘が残る/かんな
 

悲しいような甘さ
だ液に含んだキャンディをひとつ
あなたにあげたい

人の吐く息の波に
飛ばされてここにいるから
空が見えない

ふるえたように電話をかけた
いつもあなたに
揮発する涙のように

持ち合わせてしまった
いとおしさを
擦れ合わせたアスファルトのうえ

虹のなな色はいつも滲んでいる
見失うものも
それに似過ぎていて

風に吹かれる日だけ
飛ばされないように
しっかりと過去にしがみつく

だからあの曲を聴くと
同時に口ずさんでしまう
あなたへの告白

今さら推敲したら
きっと
嘘が残る


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