帰路/Monk
 

真っ青な雨を
真っ青な傘で受ける
この身が濡れぬように
冷やさぬように
気遣う身を
あたしを
あたしは
「恥じているさ」


やわらかく深い泥に
飲みこまれてゆく片足
どうせ汚れてしまっただろう
片足だけ差しだし
片腕は掴む
冷たい雨空に刺す
銀色の
傘の柄


この後
あたしの吐く言葉全てを蔑んでくれ
どのみち生まれてはこなかった
子供を抱えるあたしは
死なぬ程度に息を止め
罰してくれ、と言う
そのためにも
誰か居てくれ、と言う


真っ青な雨
やわらなか泥
傷のついた肌
この身には不要だと
傘を手放す
いっせいに
全身を刺すもの
その中に


見つけた
あたしはもう動かぬ
そこに居る
視線に告げる
「存分にやってくれ」


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