Solitude/寒雪
騒がしすぎる街角の雑踏を
見渡せる場所にあるベンチから
晴れやかな薄曇りの下を
右に左に行き交う人を見てる
たくさんの方向から浴びせられる会話
待ち合わせの時刻を気にして先を急ぐクラクション
目的地を持たずに揺れながら突き刺さる足音
目の前で次々と塗り重ねられていく
存在証明を試みるノイズ
だけれども時を費やしても
キャンバスはいつまでも透明なままで
いつしか取り囲まれたキャンバスの中央で
色を失っていく風景に一人
沈みゆく太陽の苦々しさを顔一杯に受け止める
途切れることのない騒音の行進を前に
列に加わることのない自らの魂がどこかに
意思もなく飛んでいかないよう紐をつけて
端っこを固く固く握り締める
回り続ける腕時計の針はいつか止まるのか
考えるほどにぼくの心は空洞を止められない
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