バスタイム/西日 茜
今夜もお風呂に入れてあげる
一緒じゃないと危ないからね
眼鏡をはずしてあげよう
シャボンでブラシとシャンプーも
手ですくってかける
温かいしずくは
バスルームに響く魔法の音
湯気の向こうで悲しそうな顔
泣かないであなた
昨日
あなたがいて わたしがいた
あなたの前を歩く
わたしはいそいそと
楽しそうで甘えていた
あなたは荷物をかかえ
汗をふきふきお伴の人みたいに
デパートを歩く
そんなわたしたちの光景も
やがて幻になるのでしょう
そう、あなたはあと何年かしたら
車いすの生活になり
やがて寝たきりになり
静かにその時を迎えるんだもの
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