永遠に溶けない雪/結城 森士
液体と固体の境目となる温度は、
0度という記号として定められた
重要なのは言語ではなく、現象の絶対性だ
言葉が絶対なのではなく、現象が絶対なのだ
だからぼくは言葉という記号を信じていない
雪だるまが溶けていくのを
ただ眺めていた
涙でぐちゃぐちゃになり
もはや顔の原型など留めていないのに
本当は欲しかったんだ
でも、何が欲しかったのか
もう分からなくなってしまった
汚れたかったわけではないんだ
ただ、欲しかっただけなんだ
もし、二人で作った雪だるまを溶かさないように
何度でも、何度でも修復することで
きみを泣かせたことへの
せめてもの償いになるのなら
その時ぼくは
自分の精神の変わらぬ努力を宣言し
永遠を誓えるのだろうか
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