むごん/Ohatu
 

 逆さまなだけでただ長い言葉が
 ずっと居座って渋滞をつくる。
 僕は何もできないので、何もしないでいた。

 となりの席で寝ている花瓶は
 今までに貯めこんだ愛を吐き出し、やがて枯れる。
 朝焼けはいつも遠く、身体はこんなにも近い。

 長く伸びて、届かなくなる。
 それを引きちぎるように、未来が落ちてくる。
 穴だらけの雲からの最後の通信、は。

 人ごみの中で、宇宙だけが
 ただ大人しく信号待ちをしていると
 飛び交う言葉で、身体は傷つき。
 そっと、次の手紙を待っている。
 次こそは、きっと無言の。


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