推定無罪/天野茂典
落ちてきそうだ。こんな日には鉈で鶏の首を切り落とし血のタブローを描くがいい。ムンクのような北欧の夕焼けがいい。地の果てのような赤。肉はソティにして食すればいいのだ。血はポンプのように吹き出るだろう。返り血をあびるだろう。血は立ったまま眠っている*のだから生きがいいのだ。紫外線を充分浴びてそれでも野外を飛んでいたのだ。残酷なほど人生は美しい。犯罪者ではない。イメージとしての推定無罪だ。誰でもいまからマタギになれる。熊うちの日まで。雪山に入るのだ。
待ち伏せるのだ。熊の胆は高い。いい収入源になる。50万は下らない。剥製を作るのもいいだろう。熊の肉もうまいのだ。新宿で食わせてくれる。
裂かれ
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