雪/ゴースト(無月野青馬)
 
灰は「降り出す」と私を脅した
薄く淡くガーゼのように
「口を窒息させる」と私を脅した
溶け出せば
雪解け水のようになり
末端までも「窒息させる」と脅した
そんな
脅しも注意深く見れば
破綻だらけだったから
シナリオの予測は難なく出来る
私は安心していて
専門分野だけを調査・研究していた
変わって
雪はいつも刹那だけれど
雪はいつも世界を変えた
私は雪を愛し
雪の研究をしている
残り僅かな時間とは知らずに


弱い心の隙間に
入り込む灰は
見えない壁と偽りの漆で
視界を遮る
しんしんと降り積もる
あの白雪だけが
灰を覆い尽くせる
鬼を騙し仰せると
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