君は君を助けてくれる寝言を/真島正人
 
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君は
君を助けてくれる
寝言なんて

どこにもないと
君は思うかもしれないけれど

工事現場に不意に
ひろい闇が広がるように

鶴の毛が抜けて
猫がはみ出してくるように

思いもよらない物事が
つながっているものなんだ

学生時代のセンター分けの
前髪から、
虹がはみ出してきた

学生時代の君の
キューティクルから、
生活が這い出してきた



たとえば性欲だって
股の大事な部分だけじゃなく
過去と未来
そして些細なことで割れた
食堂の古いガラス片とかに
突き刺さっているものなんだ

さっき通り過ぎていったオートバイ
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