広すぎて あまりに広すぎて/ポー
 
一人でいるには この家は 
あまりに 広すぎて… 
何をしようもなく 
何をすることもなく 
ただ 僕のまわりの空気が異様に冷たくて 
ただ ぽつりと懐かしき日々を描いて 
いつかどこかで出会った 
怯えた迷う子猫の幻影を見ている 
どこか僕に似ていた 
モロはもういない 
公園猫モロは 少し寒くなり出した秋の夜 
僕の前から 消えてしまった 
毎夜 モロと遊ぶのを楽しみにしていた日々が 
とても遠く感じている 
あの時 モロを飼わなくてよかった 
この広すぎる家に 僕と二人では寂しかろう 
殻の中
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)