わたしは水ではないので/あぐり
{引用=
肥大化する奥歯をなだめすかしていると
父と母を三人称にしていた
名付けられないものが多すぎるので
みんな言葉を捨てる
胎内の空洞にはまるものはどうしてか
その必然性がこわい
(わたしは水ではないので、何かをえらぶことでしか いきていけない)
翼が生えたとつぶやいた人とは
一度も顔をふれあわさなかった
唇から顔をなであげる夜の、均質な冷たさは
たちのぼるように青いのです
それに触れたならとても、
とても、熱くて
はじめて、わらうしかないと、わらいました
水玉をまきちらすことも
そうはしないことも
どちらも「ふつ
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