ある日の夜明け/たりぽん(大理 奔)
夜明け前の街に出ようと
ドアを開けると
遠くでクラクションが
冷え切った空気をカサカサにします
なにかに溶けていく夢を
見終わる前に目覚めたようです
夜明け前の街に出ようと思ったのは
こんな日だからかも知れません
コンビニの駐車場で
中身の残ったコーヒー缶を蹴飛ばしてしまい
ごろごろって湿って
昨夜の私のようです
よろめくほどに後ずさり
臆病な犬のように目を背けるのです
それでも
私は自分を捜したりしないでしょう
だって、晴れた夜に星座を読めば
どこに立っているかだってわかるでしょう?
輪郭が曖昧なまま
生まれたのは
こんな日だったかも知れません
そらを雪
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