骨 斎場/相差 遠波
骨とそこに遺すもの
あなたの生きた証
長い長い踏破の記憶
白く焼けてなお美しい曲線と
関節の摩擦の痕
泥の河を渡り
砂埃の轍を踏み
飯盒番の友を出来上がりの声と共に失い
骨とそこに遺すもの
あなたの生きた証
長い長い余生の記憶
黒く焼けた某球団の小冊子と
治療された銀歯
西の海を渡り
灰の街角を踏み
戻って続く大工の日々で取り戻した家
骨とそこに遺すもの
あなたの生きた証
今なら解ります
ぶどう農家の友を家族と一緒に訪ねた時に
そしてその友がすでに亡くなっていた時の
あの張り詰めた無表情の意味
遺されていく者の寂しさ
同じ時を歩んだ者が消え
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