つつがない日々の帰り道で風が止む
あのひとがいなくなったらわたし、
どんな顔して ここを歩くの
それ以外
変わりようもない流れの中で
緑のフェンスにすがろうとしている
中身のない影が
ずっとずっとずっと 先までのびていくのを見つめている
夕暮れは例えば
黄金糖の先端のようだった
頬の内側を傷付けながら
ともだちはわらいあってさよならをした
わたしがいなくなったらあのひとは
どんな顔をしてここを歩くの
みたことのないそのかすかな表面に
触れる空は、やさしいだろうか
靴をそろえたまま
カーテンは何を頼りに泣いていたんだろう
こまやかに移ろうその先を
ジャムの瓶の底から掴もうとしている
隙間をむさぼると
たしかなわたしの味がした