安全装置/あぐり
 



話し相手が必要ですか
明日がきみにも必要ですか
呟く意味なんてないのに
誰かに聞かせたい風の音を吸う

今日もまた
さようならを言いに来て
ほんの一口、ブラック飲んだ後
少しだけ髪に触れ
それからやっぱりさようならをするいつもの夕暮れ

うだる暑さに抱かれながら
あたりまえのように息をするやさしさや
ターコイズのほどけた空は遠くて、
何をしたって遠いだけの
そういう安全装置

(祈ることはとても簡単ね
信じることはとても合理的ね
信じられることは少しだけ苦しくて、
だからもう少し
此処にいようかなんて考えてしまう)

話し相手が必要です。
明日にはまたハローを言われて
待っていたことなんか塗り潰した顔でおかえりと言う
さようならの俯いたやさしさに抱かれて、
小さく息をしている、
そんな毎日




戻る   Point(1)