白い骨/森の猫
二十数年ぶりに見た
人の骨は
白く
しっかりとしていた
ついさっきまで
人として
形をなしていたものが
手術台の半分くらいの
てらてらした
金属板の上にある
寿命のままに逝いた人
その骨を
長い長い箸で
親族達が
骨壷に納める
最後に残った
大きな頭蓋骨は
素手で
ひとつ
ひとつ
厳粛だ
ちっとも
悲しくない
綺麗とさえおもえる
白い 白い
骨
あたしも
いずれ
骨になる
どうせなら
粉々の灰になりたい
拾えないほどの
灰に
そうしたら
森にまいて
ください
自然に帰してください
帰してください
どうか・・・
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