役立たずな/寒雪
表に出てきて空回りして消えていくなんて
想像も出来なかった出来事
これまでの人生が
取るに足らない足跡に見えて
無駄に言葉を積み上げるぼくは
自分のいる場所さえ
言葉に出来ないほど焦りで
脳内を塗り潰していることに気付けない
太陽がいつの間にか角度を持っていた
祭壇で祈りを捧げるように
悲しみを漂わせていたきみが
振り返って涙の乾かない水の筋を
頬に携えながら無理矢理に
ぼくに笑いを見せる
その光景を目の当たりにした刹那
ぼくの言葉は色を失って
頭の中に隠れてわからなくなった
必要な時に役立たない言葉たちに
心の中で悪態をつきながら
立ち振る舞い一つでぼくの心を
鷲掴むきみを腕の中に抱き寄せた
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