いっぽ/
朧月
そっけなく見えるのは
人々が未来しか見ていないから
白くそびえる壁も木々も
今 生きていると上を向く
雨は下におちる
雪に変わりながら
地面が覆われてゆくのを
塗り替えられると例えないで
いっぽは いっぽだよ
街に並ぶ車の顔を
横目で見ながら歩く
空をたどってゆくと
ぶつかる悲しげな山の木も
もうすぐ白に染まるけど
芯は きっとあたたかい
私の心にあたためた夢も
転がしながらゆこう
いっぽ いっぽの歩みで
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