時の羽根(三)/信天翁
 
   第九の聴かれる年の瀬がきた
  でも 丘のひだでは聞かれない
     冬鳥のさえずるアリアは

 かよわい夕陽が息をひそめながら
   義務だけ果たして沈んでゆく
半世紀まえの片蔭を引き込むように

-----生傷ばかりのうずき
-----ケロイドだらけのもだえ

あぁ 骨芽細胞はちぢこまってゆく
蕨冷のたなごころをこすりあわせて 
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