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雪原の果てに、捩れた樹木が十字架の形をなして、風雪の中に佇んでいる。
純白の地平に、いかなる嘆きの声も、ここに反響することはない。
遠く、一切から、遠く離れて。誰しも一人となってここを訪れる。
そこに刻まれた「言葉」を、「文字」を、解き証すために。
凍る十字架の袂に、祈るように崩折れる者の心に、未来と平安は、羽毛のように軽く、
降り注ぐ。

(汝) すべての罪を拭い給え。(そして 我、)
(汝) すべての愛を与え給え。(そして、世界よ…)

世界はひとつの身体となって血を流している。
永遠に陰ることのない、優しい眼差しの向こうに、いつも私たちは、虚像のように。
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