マイペース/寒雪
 


遠く遠く
長く長く
いつたどり着くか見当もつかない
心の目的地を目指して
ぼくは頼りなげな月明かりの下を
覚束ない足取りで歩く


出発の時
周りにいた仲間たちは
気が付いたら
各々の手段を用いて
先へ先へと
旅立っていってしまった
今頃はもう
自分だけの目的地で
快哉をあげている仲間も
少なくないかもしれない


焦りがないと言えば嘘になるだろう
でも
足元で風を伴奏に
静かに合唱を続ける雑草の歌を
頭上で月の背姿を
隠そうと躍起になる雲たちを
山と山の間から
優しく朝を盗みに忍ぶ太陽を
見逃してしまってまで
急いで進んでしまうのは
もったいないと思わないか


時間がどれくらいかかるのか
考えないようにしたい
今はただ
周囲で眼を楽しませてくれる景色を
心の糧に楽しみながら
いつか自分も目的地にたどり着くと
信じて進んでいきたい

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