聖夜  明滅する命/いねむり猫
 


お祭り騒ぎは終わった 
路上のツリーたちの つぶやき
澄んだ夜気が 満ちてくる頃

薄雲の切れ間から 星々の視線を感じて
今夜 本当の儀式が始まる


司祭は、浅い路肩の溝の中で息絶えようとしている
子猫のおまえにしよう

冷たい夜露の中で 次第に細くなるおまえの息が
この世界を 細くつなぎ合わせる最後の希望

だとしたら

命の その明滅する光の 危うい在り方が、
そのままこの世界の はかない一瞬一瞬の時を
つなぐ きずなだとしたら


命よ 顔に貼り付けられた酸素吸入器と
戦場の矢のように突き立てられた点滴の中で 
だれにも望まれず それで
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