あしたシャガール展を見に行く/天野茂典
 
り敷き、星を眺め、錦秋の絶句をよんでみるのだ。
外では庭にスクリーンを張って,『鞍馬天狗』を上映するのだ。それを見るのは近所の洟垂れ小僧たちだ。お寺の境内がふさわしい。馬に乗ってやってくる正義の味方は、鞍馬、
の、寺、の、天狗なのだ。はたはたゆれるスクリーン、ちいさな波のように。だが洟垂れ小僧は真剣だ。拍手はやまない。オー!誰もが声に出して吠えるのだ。鋭い剣はばったば
ったと敵を切る。台風で屋根を飛ばされ、そのうえかっぱらいにかやぶきを奪われた悲劇
の詩人、この場にいたら惜しみなく拍手喝さいしただろう。草の宿、ぼくにもふさわしい
書斎がほしい。


おいしいものほど、カロリーが気に
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