どこの虎の骨 −ハコモノの内容物に捧げる哀歌/相差 遠波
獰猛な牙
私の腰まである肩骨
力強く張った後ろ足
しなやかで長い背骨 尻尾の先まで
虎の骨
きっと熱帯雨林の奥で
この巨体で獲物を待ち伏せしながら
たくましくしぶとく生きていた
と 思ったら
動物園の子でしたよ・・・・
どうりでキレイな骨だよね
厳しく生きていたならば
骨折のあとの一つや二つありそうだもの
でもこの子は
幸せに生きたのかな
餓えることなく
飼育員さんに甘えて暮らして
檻の外など どうでもよかったのかな
自分を物珍しく見る
たくさんの流れていく人間を
食べたい とは思わなかったのかな
夏の暑い空気に
熱帯雨林の湿気を
その
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