幽霊筏/北村 守通
芝生の海に
レジャーシートの筏を浮かべ
寝っころがったその先の
青い宇宙の奥行きを考えないで
ただ
平面の広さとして
憧れるだけであった
その日は
確かにあったのでありました
芝生の海に漂う
レジャーシートの筏の上で
頬張った
冷たくなった弁当の
温かさと
軟らかさに
満足した後に
何もすることがなかったので
昼寝しようと
瞼を閉じてみても
まぶし過ぎて眠られず
風が少しあり過ぎて眠られなかった
その日は
確かにあったのでありました
芝生の海に漂っていた
レジャーシートの筏の上には
何名か乗り組んでいたはずなのでありましたが
一人は南で降
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