記憶の小道/殿岡秀秋
 
記憶が映画のシーンのようにあらわれて
そのときの感情がよみがえって
指の先からしたたると
ぼくは叫び
うずくまる

それは
ぼくを縛っているものから自由になるための
闘い

何度もふりかえって
そのたびに
絵の具のようにコトバを塗り重ねて
乾いていくと
道ばたに咲くタンポポのように
風に揺れる景色の一部になる

小さな花々が咲く記憶の小道を
まだだれも見たことのない風景にであうためにぼくは
さらに遠くへと歩いていく




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