水仙の歌/乱太郎
夜風が寝る前に君に教えてあげよう
僕が昼寝していた時のこと
公園の芝生にやんわり擦られながら
木陰がそっと忍んできて
日射しを追い払ってくれたみたいで
すっかり夢心地に浸ってしまって
何故か鮮明に覚えている
沼地の畔で君がひとり
生まれたままの姿でたたずんでいた
そして歌っていたんだ
ローレライの歌のようにも聞こえて
どこか淋しげ
やがて雲が灰色に変わり
激しい雨が君を襲う
それでもじっと耐えていた君は
虹の下で水仙になっていた
白い水仙だ
それから蝶や蜜蜂が何度も君を訪れ
花粉を運んでいく
受粉した水仙があちこちに咲きはじめ
君の歌が森中響き渡っていったんだ
それは
綺麗で楽しそうに聞こえたよ
もしかして
本当にいま君が歌っていたりして
だったら嬉しいな
夜風が寝る前に
僕は夢の続きを探しに行って来るよ
おやすみなさい
君
水仙のような
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