月は東に/アマメ庵
は進み、御前崎を過ぎて、右手の海は駿河湾に変わっていたのです。
道理で考えれば、成程、不思議はないのでありますが、同じ道を走っているのに、同じ方面に夕陽、そして月を見たのは何とも不思議な気持ちで、こう言うダイナミックな光景は何億万画素のカメラでも消して写せないなあ、などと思うのです。
そもそも、僕が文章、詩、俳句などを書いている動機のひとつは、この様な写真では表せない感動を切り取って残しておきたいからであります。
蕪村だったか、
菜の花や 月は東に 日は西に
と云う、ぼくも大好きな名句を残しました。
真似て、
苺畠(いちごばた) 夕陽は右手に 月も右に
などと独
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