矜持/寒雪
何も手の平に
つかむことが出来ずに
毎日の生活を
走り回っていると
写真の中で自分の姿が
小さくなっていく
それに気付くと
自分の存在がちっぽけに思えて
正しさとか強さとか
自分の体から逃げ出して
自分の中身が空疎で
取るに足らないものだと
思ってしまうだろう
だけどそうやって
自分を追い込んでしまう時には
自分の愛する
恋人や家族や友人を
強くはっきりと思い出せ
自分がだめな人間なら
その自分と関わる人間の
価値も一緒に下げてしまうんだ
前を向くのは容易ではない
でも
自分が大切に思う人間のため
自分を奮い立たせて
両足に激痛が走って
立っていることすら困難でも
立ち続けるんだ
それが大切な人に示すことの出来る
何物にも変えられない矜持
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