ルパタフユ/鈴木陽一レモン
1、
時計が居た。
車椅子の少女の部屋、机の上に小さな
目覚ましアラーム機能付きの。シンプルな。
セロハンテープは寝ていた。
事務員の引き出しの中で、無雑作に横になり
不必要な書類と、必要な書類を、それぞれ
敷き布団、掛け布団にして。
ある日、朝になればアラームを鳴らした。
目覚ましの
少女の部屋には充分なボリュームで、小さな体を震わせ
殴られた。
セロハンテープは、寝ていた。
ある日、昼の間、ぽかぽかと暇で。
時計は秒針を1秒に1メモリずつ、忘れずに
動かすことを忘れそうだった。忘れ、なかっ、た。
セロハンテープは、寝ていた。
消しゴムを
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)