出勤初日の女/はだいろ
ブルース・スプリングスティーンの、
1978年のアルバム「闇に吠える街」セッション時の、
未発表音源ばかりを集めた3枚組のレコードを、
買ってから、
ずっと聞いている。
お茶の水のディスクユニオンで、いったんは、
(女の子を呼ぶお金がなくなるから)
その日は、買わないことにして、
地下鉄への長いエスカレーターを降りたのに、
やっぱり、やっぱり、
って、引き返して、
買って帰ったのである、宝物のように。
ぼくは、
ブルース・スプリングスティーンに、
実は、そんな、思い入れはなかった。
中学生のころ、友達は大ファンだったけれど、
ぼくにはメガセールスのマッチ
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