梯子の話/アマメ庵
日曜日の散歩は ぼくの分担だ
犬のチャップを連れて散歩にでた
放任された資材置き場を歩くと 古い梯子が落ちていた
とても長い梯子で ぼくの三倍はある
梯子を起こして 角の桜の木に立てかける
気に上ると 隣の民家のベランダが目の前だった
それでも いつも見ている景色が 少し違えて見えて
三鷹も綺麗なところだな と思う
チャップは 空き地を行ったり来たり
木の下からぼくを見上げる
彼は 梯子の昇り方を知らないから
下界に戻ると 梯子を元通り横たえた
横たえた梯子の踏み板を
左右に手を広げ ゆっくり歩いてみる
今度はもう一度 少しだけ早足で戻る
ぼくを見ていたチャップが 同じ梯子の上を駆けて来る
ただし 踏み板は踏まず 梯子の隙間の地面を駆けて来る
ぼくより余ほど早い
直ぐに追いついて来て 足元で息を鳴らす
梯子は踏み板を踏まなければいけないなんて 誰が決めたんだろうね
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