その日まで/寒雪
 


太陽が地平線と出会い
辺りは薔薇が搾り出した
真紅の情熱に包まれていく
火照ったブランコに
ぼくときみは座って
目的もなくただ前後に揺られて
軋む錆びた鎖の金切り声を聞く
浮かんでは消える言葉も
発してしまえば消えていく情景の
移ろい行く物悲しさに溶けていく


太陽が地平線と会話を交わすのを
二人で体温を感じる距離で
静かに見つめるのはこれで何度目だろうか
出会ってから今まで
その都度ぼくは太陽が消えていく時に
きみを抱えて宵闇を残して
立ち去っていくのではないかと
心の奥底でいつも汗を流していた
もちろん今までは
ぼくの心配をよそに次の日も

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