祝いことば/石川和広
わたしは
いつも受け身だと思っていたし
それを、ある漫画をコンビニで読んだとき
いつも殺され続けてきたということばに出くわしたこともあった
わたしは祝福の嵐の中殺されふみにじられてきた
としても
その下にわたしを受けとめる奈落のアスファルトがあったことを
わたしは幸いとした
猫やネズミやミミズが平面になるまで通過する巨大魚の跳ねる音を聞きながら
悼む
地平すら持たなかった者達
空に深さがあり地に深さがあり戦慄するほど巨大な眺望の中
草揺れる音の中
わたしは不服の風を手に慈しむ
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