命のブルース/いねむり猫
 
雨に濡れたアスファルトに ネオンが照り返す

オイルが漏れ出したギラつく夜道に 薄汚れたハトが小さな影を落とす

乾いた安全な巣は 古いビルと一緒に粉々さ
さ迷ううちに 連れ合いも死んでしまった

帰る場所も 探す相手もない今夜
ネオンに目を焼かれながら 
眠りを忘れ
雨に打たれるしかない
歌うのはただ
命のブルース

どこかで獲物を見つけた猫が 喜びののどを鳴らしてる

危険なことは 知ってる 
雨の夜空から道に降り立ち
二度と飛び立つつもりはない

この世にもう安全なんてない 
守る命もない

ああ
それが望みなら
濡れた翼の付け根から アスファルトのキャンバスに
鮮やかな赤を加えてやる

ネオンに目を焼かれ
足にはべた付くアスファルトだ
空腹はもう感じない
猫たちに囲まれても 翼で逃げるのはいやだ

ただこの夜道に 最後まで立っている

雨が翼を打ち
ただ歌うのは
命のブルース

戻る   Point(2)