シンガポール/小川 葉
まだ
ゆめのなかにいる
どこかとおいくにの
くうこうを
まどのそとから
みている
ゆめ
のなかなのに
そこにはいつかいくはずだった
シンガポールがある
なくてもいい
そこにはきっと
シンガポールがあるのだ
まだいちども
おとずれたことのない
きみが
わたしといきたかった
つれていって
みせてあげたかった
あさのくうこう
せまいつうろをとおって
そとにでると
シンガポールのあさ
ひがのぼれば
わかかった
きみとわたしにはまだ
じかんがあった
それから
なにがあって
なにをしてきたというのか
しらないくにに
なんちゅうした
ひがわらう
いまもわらったまま
かたむいて
しずむまで
しらないくにで
しらずに
わらったまま
しるべきことをしり
にしのそらに
しずんだひが
ひがしのそらから
またのぼるまで
けさも
おなじゆめをみている
ひこうきの
おなじまどから
きみとは
にどといけない
シンガポールの
あさを
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