投石/
宮前のん
ほら起きなさい、と
布団をめくったら
息子が石になっていた
くしゃくしゃパジャマの真ん中で
小さな石だ柔らかい色の
まだ磨かれも割れてもいない
服着せようにもサイズが合わない
朝食だって食べてくれない
どうしたらいいか困っていると
夫がおもむろに小石をつかみ
窓から学校の方へ放り投げた
小石はきゅーんと鳴きながら
放物線を描いて飛んでいき
慌てて飛び出て追いかけて
それきり家には帰らなかった
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