なにぬねの/小川 葉
 
 
 
(な)

なにもない
なもない
なのはなさいていた

ほかのなにかに
なりたくて
なりたくても
なれなくて

ならなくて
よかったと
なまえもないのに
さいていた

ははの
なのように


(に)

にている
あなたはとても
にいさんに

にんげんの
にいさんに
あなたはにている

いえを
たててくれた
にいさんを
ときどき
おどろかせている

ありがとうを
いいたいだけなのに
すませてくれて
ありがとうと

むかし
にんげんだった
にいさんが


(ぬ)

ぬっとあらわれて
ぬすんでいく
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