さしすせそ/小川 葉
いっしゅんこえがきこえた
そのとき
めがねのようにかけていた
さ、が
かなさんのひたいからおちた
あったわ!
きがついたときにはおそかった
さ、が
さか、にくっついて
さかさ、になると
せかいのすべてがひっくりかえり
はるかずじょうには
うみがうかんでいたのである
もうかえれない
うみをみあげながら
くものうえをあるいていると
な、がおちている
な、をひろったかなさんは
かなな、になった
かなにも
さかなにももどれない
かなな、は
ようせいのなまえだった
(し)
し、が
やってくる
つりばりのような
そのするどい
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