夕暮れの味/
 
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苦笑いの先の
たちの悪い後味が
列車に乗って 体の中を駆け巡る
窓の向こうで手を振る子供たち
飴玉を舌で転がしながら
噛み砕く未来について考えている
さらにその先では
色とりどりのコンビニエンスストアが
線路沿いに連なって街を飾っていて
何かを買い忘れた大人たちが
首を振りながら自動ドアの前を往復していた




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駅にはいつだって
数えきれない表情が散らばっていて
また透明の液体が車内をゆっくりと満たしてゆく
そっと指先についたそれを舐めると
どんな時も決まって新しい味がする
幸か不幸か
溺れ方は 大分前に忘れてしまった 




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あっという間に過ぎた時間に
はっとして飲み込んだ夕暮れの光が
いくつもの駅を通り抜け
それぞれの列車の窓に差し込んだ
僕らはその光の音を合図に
互いに別れを告げ
それぞれの帰る場所へと向かう

僕らはいつだって嘘が嫌いだから
甘い言葉を飲み込みながら
「味がしない」と言って 笑うのだった




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