夜や夜/木立 悟
 






夜や夜ひとつがひとつをすり抜ける



轢かれては蹴られては筆たけりけり



記憶しかないというなら冬を喰え



おのれから去る笑みこそがおのれなり



波と星はざまの銀に生は無く



血を舐めて冬は冬にこそ還りけり



夜の背に蒼と灰の風うちよせる



夜や夜ささやかぬものささやきぬ
























戻る   Point(1)