別離の風景/寒雪
込んでは脳裏に消える
抑揚のきいた二人の弾力のある声が
次第に低く落ち着いていく
見てごらん
きみに促されて外に振り向くと
そこにはいつの間にかプラネタリウムの
賑々しく輝く偽りの星たちが
星座を作っては忙しく立ち去っていく
悲しげな自分たちと交錯する光景に
顔を背けるとそこには
涙のない諦めにも似た泣き顔のきみ
やがて
静かに前進を止め
見知らぬ駅にたどり着く電車
片手を上げぼくに背を向けるきみを
追いかけようとして躓いて転んだ
見上げたきみは一瞬微笑んで
そのままドアの向こうに存在を消す
降りることを許されず
残されたぼくは一人
眼前の座席が再び人肌に暖まることを
心の奥底で期待しながら
座席から零れる窓の景色を追い続ける
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