空間移動/朧月
私の座っている椅子ごと
空間に旅する
もう姿をとどめない
いとも簡単にあなたが
私の肩に触れ
浴室を指させば
正確にいつもの時間
肉体のあることを思い出し
きしんでくる背中を感じ
そうやって一時期でも消えたのなら
心も入れ替わったのではと願う
シャワーの雨にうたれ
ながら余韻のような
海に続く洗面器の中の
みずにこの手をつける
私の命を
捧ぐ連鎖はどこまで続くだろう
排水溝をみやりながら
小さくなって流れたいと思う
どんな命の
どんな重さも今は
みえないとしても大切なのは
知っている どんな人だって
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