手/森本隼
ぼくが泣く理由を君はきかないから ぼくはいつもしらけてしまうんだよ 傍に居て何ができるの たとえ考えた末の沈黙だとしても こっちにはなんもわかりゃしないんだよ 君はきまづいんだろ こいつめんどくせぇとか思ってんだろ どうせ解り合えないのなら 抱きしめればいいと思うのに 君は煙草をふかして苦いツラしてんだ 最後の最後に得た答えなら 正しいとは思うけど 良心が咎めれば「答え」も 変えていかなきゃいけないんだよ臨機応変に 君が泣く理由をぼくがきかなかったとしても それはそれで仕方ないと思うんだ ただ柔らかいタオルと熱いコーヒーを作ってあげようと思うんだよ かじかんだ手をあたためる ただそれだけのために
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