スターライトガール/三田九郎
 
巻き髪から星がこぼれ落ちた

すれ違い、振り返り、立ち止まる人

路上に触れては跳ね、また落ちる

光の粒が飛び散って舞い上がる

地と中空に

広がって、広がって、

広がる波紋

(一縷の望みも拡散していけ)

喫茶店の窓際で角砂糖をひとつ

珈琲に落とした紳士のつぶやき

(涙の分け前を下さい)

朱色で書かれた段ボールの中

鳴き声を失った子猫の丸い背は熱を帯び

角の街路樹が定宿のカラスは

(じゃあな 俺は行く)

溶けていく彼の孤独に

高鳴る胸で羽ばたいた

この町の雑踏はいつも

悲哀の湿度が乾いた歓びを圧倒
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