丘の上/
三田九郎
風を浴び
空を見上げ
擦り切れたシャツのほころび
海は凪いで
光の粒
さらさらと歩いてくる
中学の帰り道
君の部屋のカーテンは揺れ
膨らんでは遠ざかり
時々転んだ
夕日は下り坂
並木道の先に落ち
青く赤く波打つ胸は
深まる闇を飲み込んだ
雨ニモ負ケ
風ニモ負ケ
もうダメだと信じた日にも
手を握り
無邪気を装い
道標を共に探した
見つかっても
見つからなくても
ここまで来た
ここにいる
揺れる髪も
横顔も
町を見下ろす丘の上
ぼくの隣り
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