悠久/寒雪
 


言葉が語る悠久は
その中身を満たすことが出来なくて
時間がいつまでも空洞のまま
波打ち際で形を変える砂の
不確かさに似た悲しさを伴う


二人手を伸ばして誓う永遠も
伸ばした手の長さが違うから
時間がいつまでも時差を感じて
伸びた影の長さを測り続けて
揃わない襟足に悲しさを分かち合う


自らが唱える五十年の長さも
終わりを告げる節目で
実は光が地球を一周する速さで
その役割を終えていく
死神に見取られる刹那
目に映る悠久は砂漠のオアシス


それでも悠久を誓う
自らの愚かさが愛しい


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